西洋占星術とギリシャ神話まとめ 番外編 4大小惑星(セレス・パラス・ジュノー・ベスタ)

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なぜこの4つの小惑星なのか

セレス・パラス・ジュノー・ベスタが取り上げられるのは、発見された順番によります。

天王星発見以降の天体には、発見された時期に地上で起きていた出来事が、意味合いとして重なっていく傾向があります。

  • セレス(1801年発見):大規模農業の発展の時期
  • パラス(1802年発見):世紀末的なロマンチシズムの時期
  • ジュノー(1804年発見):女性の権利が認められ始めた時期
  • ベスタ(1807年発見):奴隷解放が動き出した時期

そして面白いことに、この4天体にはいずれも、その現象とリンクをするような女神の名がつけられています。

また、10天体が男性神中心(金星・月のみ女性神)であるのに対し、小惑星は女性的で受動的な、細やかな感情の機微を、より繊細に映し出す領域だと言えます。


⚳セレス‥デーメーテール

【シンボルの由来】 収穫の鎌(デーメーテールが手にしている)

【占星学での基本的意味】 植物的生育

【対象となる事柄】 農業、教育、母性的な献身、枯れることのない愛情、妊娠

【デーメーテールの能力】

大地の恵みと収穫を司る豊穣の女神。機嫌が良ければ大地に実りをもたらすが、怒らせると容赦なく作物を枯らしてしまう。

【神話で表される姿】

穀物の穂を手にした、母性的な壮年の女性。

娘ペルセポネーをハーデースに略奪された際、悲しみと怒りのあまり大地から実りを奪い、世界を冬に閉ざしたことは有名です(この逸話は冥王星の回でも触れました)。この「与える力と、奪う力を併せ持つ」性質が、そのまま生育・農業・教育という「育てること」全般の基本的意味につながっています。

10天体で例えるなら、月に近い性質を持ちます。表舞台では目立たず、水面下でじっくりと育て、時間をかけて実らせていく。赤子や動植物など、言葉を発しない生き物の日々の成長のように、すぐには周りからは分かりにくい。静かだけれども大きな働きです。

物事を、時間をかけて育て発展させる力という面では、木星的な部分もあるでしょう。


⚴パラス‥パラス・アテーナー

【シンボルの由来】 槍(菱形と十字で表される)

【占星学での基本的意味】 調和

【対象となる事柄】 心の平穏、損得のない愛情

【パラス・アテーナーの能力】

知恵と戦略の女神アテーナーは、学問・技芸・知恵・戦争、全てに秀でた女神。

パラス・アテーナーは幼馴染であるパラスの名前を自らに冠したもの。純粋な気持ちを守ることでの心の平安を象徴する。

【神話で表される姿】

盾を構えた、凛々しい女戦士の姿。

パラスは海神トリトーンの娘で、アテーナーの幼馴染として共に武芸を磨いていました。

ある日の稽古中、ゼウスが不用意に割って入ったことでアテーナーが動揺し、誤ってパラスを死なせてしまいます。

深く悲しんだアテーナーは、パラスの姿を模した像(パラディオン)を作り、自らの名にも「パラス」を加えて「パラス・アテーナー」と名乗るようになりました。失った友への純粋な思いを生涯かけて守り抜くことで、厳しい戦いの間でも、心の平安を守ることが出来たのです。

この「見返りを求めない思いに支えられた心」が、基本的意味である『調和』の由来です。10天体で言えば、金星から損得勘定を差し引いた部分にあたります。恋愛的な意味の「愛」というより、代償を求めない、まっすぐな気持ちそのものです。

恋愛運の基本は、金星♀を見ることなのですが、金星に問題がないのに、恋愛で問題が起こりやすい場合、パラスに問題がある場合があります。


⚵ジュノー‥ヘーラー

【シンボルの由来】 星を頂く笏(王権を示す)

【占星学での基本的意味】 権利

【対象となる事柄】 権利の主張、裁判

【ヘーラーの能力】

結婚・母性・貞節を司る、オリュンポスの女王。ゼウスの正妻としての義務を全うする一方、権利の行使にも容赦がない。

【神話で表される姿】

冠をかぶった、威厳のある成熟した女性。

ローマの詩人オウィディウスが伝える説話では、ヘーラーは、ゼウスが自分を通さず一人でアテーナーを産んだことに激しく腹を立て、女神フローラから授かった花に触れることで、自らも男性の力を借りずアレースを身ごもった、と伝えられています。

夫の浮気に対しても、正妻としての義務を果たしているにもかかわらず絶えないことに、浮気相手やその子供たちへ容赦のない仕打ちで応じてきました。

これは単なる嫉妬ではなく、「義務を果たしている自分には、それに見合う権利がある」という主張として読むことができます。この「義務の対価としての権利」が、基本的意味である『権利』、対象事柄の『裁判』に直結しています。10天体で言えば、土星に近い性質を持ちます。ジュノーが動く前には、必ず何らかの制限や我慢が先にあるのです。

奇しくもジュノーが発見された1804年は、フランスでナポレオン法典が制定された年でもあります。

この法典は「正妻」という立場を法的に明文化した一方で、既婚女性を法律上「無能力者」として扱い、夫の同意なしには契約も財産管理もできないと定めました。

権利を認められると同時に、その権利ゆえに縛られる――まさにジュノーの二面性そのものです。


⚶ベスタ‥ヘスティアー

【シンボルの由来】 ベスタ神殿のかまどの火

【占星学での基本的意味】 義務

【対象となる事柄】 何かを犠牲にして権利を得ること、隠居的な暮らし

【ヘスティアーの能力】

かまどと炉の火を司る女神。オリュンポスで最も目立たない存在でありながら、神殿の中心を支え続ける。

【神話で表される姿】

炎を見つめる、慎ましやかな姿の女性。

ヘスティアーは、自らの純潔を守りたいという強い意志から、自由のない「かまどの番」という仕事を、自ら志願して引き受けました。誰かに強制されたのではなく、自分自身の強い思いが、その不自由な道を選ばせたのです。

この「自ら望んで、何かを犠牲にする」という構造が、基本的意味である『義務』の核心です。10天体で言えば、火星に近い性質を持ちます。土星の義務が「外から課される」のに対し、ベスタの義務は、自分自身の情熱から選び取られたものである点が違います。

現代で言うならば、自由な生活を守りたいから独身でいる、その犠牲として家庭は持てない、みたいなイメージです。


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