風の時代の根拠(元ネタ)となる内容のご紹介と、実際の木星土星大会合(グレートコンジャンクション)の内容を、エフェメリス(実際の天体の内容が記載されているもの)で確認していきます。
更に、水瓶座時代という言葉も耳にしたことがあるかと思いますので、水瓶座時代の元ネタについても、触れて参ります。
「風の時代」が始まった――そうなんだね!と、疑わずに思う方がほとんどだと思いますが・・その証拠を、見ていますか?
占星術の大きな節目であるグレートコンジャンクション(木星土星大会合)が、2020年に初めて風の星座で起きたというのが、《風の時代》になった理由とされています。
グレートコンジャンクションとは、木星と土星が同じ位置になる、約20年に一度現れる天文現象で、
それが今回、水瓶座の入口で起こり、今後何年間も風の星座で起こるから、《風の時代》というそうです。
木星と土星のコンジャンクションが今回2020年では、通常の20年ごとのコンジャンクションよりも、とてもきっちりと重なって見える。1623年以来であるということも強調されています。
しかし、1981年にも同じように、風の星座でグレートコンジャンクションが3回起きていました。
3回起きる事は珍しくはないのですが、1回起きるよりも、作用がしっかり出るのが通常です。
その事実について、あまり語られることはありません。
風の時代の理論を生み出した人=アブー・マーシャル
風の時代の理論は、800年頃のトルコの天文学者/占星学者アブー・マーシャルが唱えた説がベースとなっています。
それは、グレートコンジャンクションをするエレメント(火地風水)の移り変わりで、約200年ごとに時代が変わるという内容です。彼は、実際の天体の動きについて、とても観察をしていました。
以下の図(図1)で、グレートコンジャンクションをするエレメントは、200年できっかりと移り変わるわけではないことがわかります。

(図面1)画像1500年から2500年までの、木星と土星の同じ位置(コンジャンクション)の一覧
火の星座→赤、地の星座→茶色、風の星座→緑、水の星座→青、でマーカーを引いています。
アブーマーシャルは、約200年の開始時期と終了時期については言及していないはずです。私の調べ不足かもしれません。ご覧の通り、過去を遡っても、だいたい200年おきにエレメントが変わるが、わりと間に、違うエレメントが入っているのが、おわかりいただけるかと存じます。
1981年に最初に風のエレメントで大会合が3回起きており、2020年の風のエレメントでのグレートコンジャンクションとの間に、地のエレメントでグレートコンジャンクションが起きていることを、図1で示しています。
《今回の風の時代は、2020年から開始した。その前の大会合は地の星座だが、それは最後の地の星座の時代であった》、という説になっていますが、アブーマーシャルはそこまでは言及していないのも関わらず、なぜそうなったのでしょうか。
1981年ではなく2020年が風の時代の開始になった根拠が、私の力では見当たりません。
(※もしこの記載に間違いがある場合、メールを頂けると助かります)
本当に200年ごとに時代が変わっているのか・検証
また、アブーマーシャルが、200年ごとに時代が変わるという説を唱えましたが、いつの時代でも、時代が変わっているような側面があるのではないか?と思いましたので、本当に200年ごとがリンクしているのか、検証をしてみたいと思います!
近いうちで、世界レベルで強い変化といえば、第一次世界大戦(1914~1918)、第二次世界大戦(1939~1945)。
これは、図1のなかでは、地のサインの時期の真ん中ですね。だから200年ごとルールに該当しません。
文化的な側面としては、一番最初は農業の開始(約一万年前)ですが、200年単位ではわからないので省略します。
その次が産業革命でしょう。1760年 – 1840年頃です。次が現代の情報革命(1980年– )。
これを図1で見ますと、確かに、産業革命時は火のサインから地のサインの過渡期にあたります。
この2つの、文化的革新期に関しては、一応該当していると言えそうです。
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冒頭にも記載した、《木星土星コンジャンクションの、肉眼でみるタイトさ》を取るならば、それより前の1623年頃に、もっと何か起きておかしくないのですが、調べた限り、わかりやすい世界的な変革の動きは見当たりませんでした。大航海時代にはなりますが、スタートの時期ではありません。
これは、コンジャンクションのタイトさについては、意味付けが出来ないのではないか?という仮説です。
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情報革命は1980年からなので、一番最初に風のサインでグレートコンジャンクションをした時期頃から(1981年)になります。
これは、時代の切り替わり時期が、2020年で正しいか、疑問点が残るという仮説です。
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ざっくりと当たっているかもしれませんが、人類全体的な革命といえば、農業・産業・情報が、三大革命と言えるので、農業の開始と産業革命の間の、数多くの200年スパンについても、毎回なにか、このレベルのことが起きているのか?の、検証が必要でしょう。(1回だけ当たっていた、では、根拠とならないです)
水瓶座時代とは?風の時代との違いについて
つぎに、風の時代とごちゃごちゃになりやすい、水瓶座時代という言葉について解説をしてまいります。
まずこの言い方のベースとして、天文学で、○○座時代という言い方があります。
天文学では現在は魚座時代(キリスト生まれたくらいから少し先まで)で、水瓶座時代は少し先からになります。
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天文学の春分点は固定ではなく、少しずつ逆行をしているのを、ギリシャ時代の人が発見しました。
いまは春分点が魚座なので魚座時代、2152年から2700年の間は魚座と水瓶座が重なっていて、それ以降は水瓶座時代になります。
ですから、水瓶座時代は全然先ですし、いつから水瓶座時代というのもはっきりしていないのです。
水瓶座時代が来た!水瓶座時代が来る!と言い始めたのは、スピリチュアル界隈の方々です。
著名な専門家先生のコラムより
『2020年12月22日、「風」の星座である水瓶座の位置で、土星と木星がぴったり重なる「グレートコンジャンクション(大会合)」が起きました。それまで約200年間「地」の星座で起こっていた大会合が、今回は200年ぶりに「風」の星座でしたから大きな変化です。』
『そして、この先の約200年はずっと風の星座で大会合が起きる。それで「風の時代」が始まった、と言われているんですね。』
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私の師は、『言っているほど大きな天体現象ではないし、境目が不明瞭だ。」と仰います。私も自分の目で改めて確認して、その通りだと思います。
ようは、先生としては、その解釈はしないとのことで、
「おそらく出版社等と話していて、風の時代とか、海外でも言われているからいいんじゃないんですか?みたいな流れじゃないですかね?これで占星学に興味もってくれたら、それはそれでいいかな。。」とのことでした!
、『風の時代』という響きが良く、これから始まると書くとドラマチックで、コピーライティングとして成功した側面は、否十分にあり得るでしょう。この界隈は、ドラマが大好きであります。
エフェメリス(天体データ):stargazer
参考文献:Wikipedia 実習・占星学入門 石川源晃先生HP、名古屋市科学館
伊泉龍一先生、鏡リュウジ先生、松村潔先生のインタビュー記事 世界史/日本史年表






