
類まれなる才能を持ちながら、なぜ彼女は長年の精神分析(カウンセリング)を必要としたのか。
その背景にある「重すぎる現実の消化不良」を、ホロスコープの配置から考察します。
1. 宿命の重圧と頑固さ
- 太陽・冥王星・土星のハードな関わり
- 太陽と冥王星(29度)のタイトなスクエア⇒逃れられない宿命的な重圧が起きる可能性
- ASCにある土星と冥王星の合⇒強いカリスマ性を求められ、背負いやすい。
- 社会的に期待される役割が大きすぎて、個人のキャパシティを超えた「現実の消化不良」の原因とも言える。
- ASC(アセンダント)と土星のコンジャンクション(12室側)
- 幼少期から「独りで完遂すること」が正解だと刷り込まれたか、自分でそう思ったか。頑なな自立心。
- 若年時の自分の思考や感覚が固定化されやすく、新しい考え方や他者を受け入れるまでに相当な時間を要する傾向。
2. 知性と表現の「過剰な適応能力」と「作品の透明感」
- 水星の特異性(唯一の逆行天体)
- 思考や言葉の領域に対する、独自のこだわりがあると言える。
- 水星と月のセクスタイル(3室水星)
- 非常に物事を吸収する知性が高いゆえに、両親の英才教育による早熟な表現で、過剰に世界に適応できてしまった。
- 面倒なことを本能的に回避する知恵もある。泥臭い現実を「透明度の高い表現」へと昇華させる力の源泉かもしれない。
3. 内面に潜む「回避と理想」
- 柔軟宮優勢・火星と月の魚座
- 本質的にはガツガツしておらず、周囲の影響を受けやすいと言える。
- 現実が重すぎると、本能的に「逃げ」を選択する生存戦略を持つ。
- 2室の海王星・射手の天体集合・MC獅子
- 現実的な価値(2室)の場所に、非現実的な理想(海王星)が鎮座している。常に「無限の価値」を追い求めているイメージ。
- 山羊座生まれであるが、既に土星を上記で検討をしている。射手に天体が集中しているので、これもまた、理想を追い求めることが身上。射手に♃があり、ディスポジターのルートともなる。考え方としていきつく先が、明るい未来が見えるかどうか?そしてMC獅子であるので、これもまた、物事の扱い方が楽天的になりやすい。
- 頑固でカリスマ性があり、明るく未来志向だが、回避傾向も繰り返し出てくる。重たい現実を直視してダメージを受けないための、大切な方法かもしれない。
4. 見えにくい「楽しみと癒やしの回路」
- 金星・小惑星(セレス/パラス等)・キロンのノーアスペクト(図には記載していません)
- 楽しい気持ちと直結する金星と、水面下の心の持ちようを表すような小惑星群が全て、メインの天体から切り離されている。感覚が水星と、月と海王星のスクエアに集約される。空想が行き過ぎやすい傾向のみが前面に出てくる。
- 自分の心の底にある感情や傷とどう向き合えばいいか。アスペクトという「回路」が見えにくい状態とも言える。
- だからこそ、精神分析という「知識や言葉(水星)」を用いた外部的な回路接続を使ったのかもしれません。
5.家庭問題:IC金星とASC土星
- 宇多田ヒカル・藤圭子母子は、よく愛着障害と愛着不全の例として挙げられています。ここでは私が読める範囲で、家庭について読んでいきます。
- ASC土星だけで簡単に毒親育ちと読んではいけません。ひよこが最初にみたものを親だと思うように、若年に身に付いたルールがルールだと思いやすい傾向。それに対して融通を効かせる必要がある場面では苦労をします。簡単に言えば『こだわりが強く頑固』と言えそうです。
- 4室は家庭そのものですが、ICに金星があります。ICがみずがめで、4室には火星もありますが、彼女にとって家庭は、楽しい場所でもあったと思います。
- デビュー前に家族で音楽を作成していたのが、彼女の原風景と言えそうです。そこから離れるほど、これでいいのかと迷ってしまう。(またお父様にプロデュースしてもらうのも、心の安定のために良いのではないか?)
おわりに
彼女が選んだ「人間活動」や「ノンバイナリー宣言」は、宿命の重圧から自分を切り離し、本来の繊細な自分を守るための「高度な戦略的逃避」とも言えそうです。
宿命(レール)を外れるのではなく、自分を「無性」や「個」として定義し直すことで、重い現実を抱えたまま走り続ける知恵を手に入れたのかもしれません。
9年のカウンセリングは、この「ほぐれにくい頑なな自立心」と折り合いをつけ、自分をラクにするためのプロセスだったのでしょう。







