♅天王星‥ウーラノス
【シンボル♅の由来】
天王星の発見者ハーシェルを記念しつつ、“Uranus”のUと天を象徴する十字が組み合わされたものとされます。
【占星学での基本的意味】 変化
【対象となる事柄】 膠着状態からの突然の変化。アイデア。発明家・浮気相手(天体の意味合いから)、老人(西洋占星術での天体の年齢域から)
【ウーラノスの能力】
天空を支配すること。具体的な能力というより、「天空(ウーラノス)と大地(妻・ガイア)の交わりによって万物を生み出す存在」。この組み合わせで、神族から巨体の怪物まで、次々と生み出している。
【神話で表される姿】
ウーラノスは神話内で、神としての「統治期間」が極めて短く、最初のほうだけで退場してしまいます。
クロノスと同様、神話内にあまり情報がなく、人格というよりは『天空そのもの』。
大地に覆い被さる顔のない天空、または老人として表現され、威厳というより無力さが目立つ。
天空の神でありながら、地上的な場所に引きずりおろされる構図が多い。

(クロノスに去勢されるウーラノス)
ギリシャ神話3世代の王の変遷~天から地へ、秩序の継承
ウーラノスとはギリシア語で 「天」 の意味で、天そのものの神格化です。日本語ではウラノスとも表記します。
ウーラノスはゼウスの祖父・クロノスの父にあたり、ギリシャ神話の神々の、長く壮大な系譜における原点と言えます。
簡単に書きますと、ウーラノスは妻ガイアとの子供たちを、母である大地の深く(タルタロス)に幽閉するのですが、それに対して怒ったガイアが、末っ子のクロノスに《アダマスの鎌》を持たせ、ウーラノスの性器を切り、クロノスの新時代が幕明けしました。幽閉した理由は明記されていませんが、様々な子供たちの可能性を恐れたのではないか?
ちなみに、その性器についていた泡から産まれたのがアフロディーテ。
そしてクロノスもまた、子供に同じようにされると予言され、恐れて子供たちを飲み込み、それを救いだしたのがまた、末っ子であるゼウスです。
こう読んでいくと、ウーラノスの時代は『無秩序で統治されていない状態、もしくは自然そのもの』を表していると言えるでしょう。
クロノスの件で終わりを迎え、クロノスの時代は『よく統治されていて平和なイメージ』です。
クロノスを成敗したゼウスの時代ですが、西洋占星術で使う天体に神々の名前がつけられているものは、殆どこの世代の神々の名前です。ですから、ゼウスの時代は『支配の分担と多神的秩序』があると言えそうです。
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西洋占星術では、クロノスが示す土星は『制限』で、ウーラノスが示す天王星は『(膠着状態に突如現れる)変化』です。そして、天王星は発明など、革新的な意味合いがあります。
さらに言うと、西洋占星術での土星も天王星も根っこに抱くものは似ていて、『この場をうまく統治するにはどうしたら良いか?』。その方法が違うだけで、保守的なのか、革新的なのか、という具合です。
天王星は、実際の天体の状態も常に、横に倒れています。自然そのものは整っていない、まっすぐじゃない。また、ほぼまっすぐな状態が動いたら、それは変化、ですね。
星の意味からは土星(制限)⇒天王星(変化)なのに、神話での出番はウーラノス⇒クロノスです。何故なのか?
これについて、このように考えてみました。
天王星が縛りの無い、人の手がかかっていない自然で、生き物としての人間としましょう。それが去勢されて弾圧を受けた。
でも去勢されたことで秩序が出来、平和が保たれた。これが土星で、私らの、いまの社会での生活とします。
(木星は、保護という意味合いがありますが、土星等の社会を含めて、しっかりやってきた人や物事に対してのみ、恩恵を与えます。)
でも時折、これは違うのではないか?と、天王星が突如として現れる。それはいまの社会に、すぐにはそぐわないことかもしれません。
天王星は天空そのものだから、私らが制御できないような形で降ってくる。
ある意味、人や物事の、原点回帰を探っているような部分があるのではないでしょうか?
無秩序な原点がウーラノスだとしたら、それを制御するのがクロノスと言えるでしょう。